短所を隠したい訳ではない
「長所を伸ばせば短所が目立たなくなるよ」という言葉は、よく耳にすると思います。
「ハロー効果」という用語があり、心理学的にもその現象は認められています。
ハロー効果とは社会心理学の用語で、ある対象を評価する時に、それが持つ顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる(認知バイアス)現象のこと。
例えば、ある分野の専門家が専門外のことについても権威があると感じてしまうことや、外見のいい人が信頼できると感じてしまうことが挙げられる。
(Wikipediaより抜粋)
しかし、自分のことが嫌いな人間にとっては、あまり効果のない言葉なのでは・・・と思っています。
自分のことが嫌いで仕方なかった私には、いまいち納得がいかなかったんです。
なぜなら、短所を目立たないようにしたい訳じゃなくて、抹消したかったから。
そもそも、自分に長所なんてないと思っていたし・・・。
180度変わりたい。
自分とは別の人になりたい。
特に高校生、大学生の頃、その思いが強かった私は自分を変えるための努力ばかりしていました。
とにかく、自分のダメなところを直そう。
足りないところを埋めよう。
そんな努力ばかりでした。
自分の嫌いなところがなくならない限り、私は自分のことを好きになんてなれない。
自分を好きになるためには、自分の中から短所を排除しなければ!
そう信じていました。
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短所をなくすための努力は諦めに変わる
でも、そういう努力は続かなかったのです。
苦手なものを頑張っても、限界があります。
元から出来ている人には敵いません。
他のみんなは普通に出来てることが私には難しい。
やっぱり自分はダメだな。
ちょっとは良くなったかもしれないけど、根本は変わらないんだな。
三つ子の魂百までって言うし。
大人しい性格も、
人見知りなのも、
人前でうまく喋れないのも。
やっぱり変わらない。
そのうちに、諦めの気持ちが出てきて、「どうせ頑張っても無駄」と思うようになります。
短所を克服しようとする努力は、いつまでも自分のダメなところしか見えないので、自己否定のループから抜け出すことができません。
自分を追い詰めるだけなのでした。
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自分嫌いな人が長所を伸ばす前にすること
自分のことが嫌いなのって、言わばハロー効果が悪い方に働いているんだと思うんです。
自分の一部に過ぎない短所に囚われて、自分という人間まるごと否定してしまっている。
本当はいいところもたくさんあるのに。
私の場合だったら、例えば「仕事が遅いから、仕事が出来ない」と思いこんでいるところ。
実際は、時間はかかるけどミスは少ないんですが。
新卒で入社した会社がスピードを求められていたので、周りにいつも遅れを取っていた私は、自分自身に「仕事が出来ない」というレッテルを貼ってしまったのです。
その後、転職した職場では、同僚から「りんごさんはミスが少なくてきちんとやってくれるから安心できる」と言ってもらったこともありました。
褒めてもらえたのは素直に嬉しかったのですが、それでも「時間がかかる」という点ばかりを気にしてしまって、「自分は仕事の出来ない人間だ」という意識が消えることはありませんでした。
それくらい、自分自身の短所に対する劣等感は根深いものだったのです。
そんな状態では、「長所を伸ばせば短所が目立たなくなるよ」とか言われても、
「いや、私は短所が気になって仕方ないんだよ!!」
としか思えないんですよね・・・。
長所を伸ばしたら、他人から見たら短所は目立たなくなるのかもしれない。
でも、自分の中では依然、短所の存在感は大きいままなのではないでしょうか。
自分のことが嫌いな人が自分を好きになるためには、長所を伸ばすよりも前に、短所に対する意識を変える方が効果があるのではないかと思っています。
短所についての意識改革のための記事は、こちらの記事「短所だらけのダメ人間は無限の可能性を秘めている」に書きましたが、要約すると、
自分の中には数々の「特徴」が存在していて、その特徴が良いように表に出れば長所となり、悪いように表に出れば短所となる。
ということ。
今まで「短所を抹消するまで、自分のことは好きになれない」と思っていた私ですが、この考え方を知ってから、自分の特徴を活かそう!!と考え方をシフトすることが出来ました。
短所をなくしたり、隠したりしようとする前に、短所に対する認識を改めること。
それが、自分嫌いな人が長所を伸ばす前にすることではないでしょうか。
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